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2010年5月9日 日曜日
中国でのビジネスについて話すと直ぐに賄賂の話が出てきます。確かに中国の色々な場面で「賄賂」はまだ日常的なことです。あまりにも一般化されていて、悪いという意識がないことが多いです。逆に賄賂を払うのが当たり前で、賄賂なしの「正式な方法」が非常識と思われることも多いです。「賄賂」と思わず、「手数料」と思った方が近い訳語になるかも知れません。
大きく分けると二つの種類の賄賂があります:「良い賄賂」と「悪い賄賂」。先ずはそれについてちょっと説明します。
● 良い賄賂
良い賄賂とはその人が普通にする事をちょっとでも早めにしてもらうための賄賂です。例えば、何かを申請するのに、担当者が必要以上に面倒に出来ます。法律で書いていない項目を要求したり、解釈の違いによる細かい書き直しや訂正が永遠に続いたりすることがあります。自分は正しいことを正しくしようとしているだけでも、なぜか非常に時間とエネルギーを要する。そこで、その担当者に「お土産」を渡すことによって、急に物事が速く進むし、自分の手続きを急いでやってくれる。結果的にルール通りにしか進んでいないし、何の法律違反もない。でも、そのお土産(賄賂)がない場合よりはかなり早く、円滑に手続きが出来ます。これは役所、銀行、公安局、病院、どこでもあり得ることです。単なる常識です。
場合によってはお土産の代わりに「友人の紹介」で充分です。しかし、これはただで済んだと思うと大きな勘違いです。(それについては後日・・・)
● 悪い賄賂
一方、悪い賄賂とは人に禁じられている事をやらせる為の賄賂です。例えば、自分が犯した軽い違反を見逃すことから、相手が違法行為をすることまでです。このような賄賂は「良い賄賂」と比べて数が少ないのですが、比較的高額になるし、それなりの危険が伴うこともあります。
こんな悪い賄賂を提案することは絶対に避けた方が懸命です。自分から言い出したら、逆にそれだけで逮捕され、更なる賄賂を払うはめになることもあり得る。相手から言われても、よく考えて行動することがいいでしょう。
● 良い賄賂と悪い賄賂の区別
これは比較的に簡単です。例えば、何かを税関に通そうとした時に、物事が進まず、いくらかを払えば直ぐに出来ると言われた場合、「これは本当に税関を通すべきものかどうか?」を考えること!
本当に通すべきか担当者が面倒なことを言ったり、時間を掛けたりしているのであれば、恐らく「良い賄賂」の範囲内でしょう。一方、どう考えてもそれを税関で引っかかるべきものであるが、いくらかを払えば通してくれる話であれば、きっと「悪い賄賂」です。
● 賄賂の払い方
色々あります。もちろん現金を払うこともあります。しかし、当たり前に聞こえるが賄賂の領収書は発行も出来ないし、出来ても経費として認められるはずはないよね。また、賄賂は現金で払うと、見られたり、後で受け取った人が見つけられたりした場合はかなり面倒なことになる可能性がある。
そこで、現金ではなくて、携帯電話のプリペイドカードやデパートの金券(カード式)で賄賂を払うことが一般化されています。皆が電話カードを使えるし、日本系のデパートのカードを持つと中国でのステータスになっているし、更にその二つを買う時に正式な領収書をもらって、経費として落とすことが可能になります。
しかし、現代の中国を批判する前に戦後の日本を思い出しましょう。まだ「賂」と書いて「まいない」と読んで、しきたりとして「礼として贈る物」でした。当時は米券が多かったそうですが、時代と共に形が変わっているだけでしょうね。
結局は、中国に入っては中国に従う!
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